考えるコアラの頭の中

思考の整理整頓のために書きます。なので、思考ダダ漏れで読みづらいです。いつか推敲します。※18/6/26以前の記事は、別人格です。今から思うとおかしな事を言っているなと思ったりします。成長過程として敢えて残しておきます。何卒、ご理解ください。

【書評・感想等】幸せとお金の経済学(ロバート・H・フランク)

昨今は、副業人口が過去最大に達し、今後も市場規模も拡大していくと予想されます。

 

「副業・兼業を行う人 過去最高の744万人に / NHKニュース」

https://t.co/LkKv0noInZ

 

 

みんな何を目的に副業をするんだろうか?

お金があるほど幸せか?と聞かれれば、うなずきがたい。

それよりも、自己実現を達成したほうがずっと幸せだなと思うわけで。

でも、お金がないとそれすらも達成できないしなぁ。

副業で自己実現しつつ、お金も稼ごうってことかな。

 

こんな具合で

「お金と幸せの関係をもっと知りたい」

と思っていた矢先、ある本に巡り合いました。

 

幸せとお金の経済学』(ロバート・H・フランク)

 

 

以下、本書を私なりの解釈と結論を述べさせていただきます。

 
 
■画期的概念
・地位財 : 他人との比較優位によって初めて価値が生まれるもの。例えば、所得社会的地位車家など
 
・非地位財 : 他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの。例えば、休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など
 
『なぜ地位財を追求するのか?』
人が子孫を残せるかどうかは、絶対的な価値である「健康」ではなく、相対的な「地位」のため。例えば、どんなに「不健康」な身体でも、周りと比べて相対的に「優れ」ていれば、それだけ子孫を残す確率は高くなります。そうして作られた子孫は、当然、他者との比較優位によって、子孫が残せるか残せないかを判断します。これを繰り返していくうちに、ヒトは遺伝子レベルで地位財を追求してしまう事になった、ということです。
 
■本書の目的
しかし、地位財は「短期的な報酬」であり、それだけでは幸せにはなれない。なぜなら、常に比較優位に立てるわけではないから。
そこで、非地位財という「長期的な報酬」を得る事に着目し、恒常的な幸せを得ようというのが、本書の目的。
 
 
何かの目標を成し遂げるには、それを成り立たせる因子を理解すべきです。
パレートの法則によれば、その因子のうち極めて重要な2割が、成果の8割に影響します。
 
では、恒常的な幸せ(長期的な報酬)を得るための「極めて重要な2割の因子」とは何でしょうか?
 
■非地位財のカギは「お金の配分」
地位財とは、人間の本能(衝動)のままに生きる事だとも言えます。会社で競争心を掻き立てられたり、つい見栄を気にして高い腕時計や車を買ったりする、あの情動です。
 
「情動は克服すべきだ」と筆者は言いますが、同時に「それは極めて困難だ」とも言っています。
 
それでも、長期的な報酬を得るには、「非地位財に対してお金を配分する」と力説しています。
 
非地位財とは、言い換えれば「自己実現」とも言えますから、長期的な報酬は得られる気がします。
 
■お金が増えても幸福度は変わらない
モノが豊かになった先進国において、所得が4倍に増えても幸福度は変わらないという実験結果があります。
(1974年、経済学者のリチャード・イースタリン『 Does money buy happiness?』)
 
これにも同意します。今の年収が仮に4倍に増えたとしても、無駄な支出が増えるだけで、それで幸せになれるか?と言われれば、わかりません。
 
ちなみに、個人がお金の事を気にせず、暮らしていける年収額は700万だそうです。
橘玲『幸福の資本論』より)
 
 
■本書のメッセージ
幸福を実現するためには、「消費活動→生産活動」にする事です。単なる消費活動ではなく、その消費活動が何かしらの形で誰かの役に立つ、誰かの価値となる生産的な活動にすればよい、と私は解釈しました。
消費活動を生産活動に変換し、消費活動による支出を減らせれば、高年収を目指す必要もないです。さらに、その消費活動が自己実現を達する上で、極めて重要な過程なのだとしたら、これはとても幸せな事だと思います。
 
よって、幸せのために私たちが取るべき行動は、以下のようになります。
 
「消費活動の前に、消費活動から生産活動への導線を敷く」
 
 
■最後に
本書に載っていた「肥えた豚より、痩せたソクラテスになれ」から得られる有名な教訓があります。
 
それは、「健全な批判精神を持て」です。
 
すべての情報を鵜呑みにするのは、その情報を信じるという「選択」をしたあなたの責任となります。人は「選択」をし、「行動」すると思います。その全責任は、だれでもない、あなた自身に厳しくのしかかってきます。
人生における幸福もそうです。
何を「幸せ」とするか。
それは、あなた自身が「選択」し「行動」して獲得しなければなりません。
 
そのためにも、「健全な批判精神」を持ちたいものです。
 
 
 
満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよい。満足した馬鹿であるより、不満足なソクラテスであるほうがよい。
 
It is better to be a human being dissatisfied than a pig satisfied; better to be Socrates dissatisfied than a fool satisfied.
 
19世紀イギリスの哲学者、ジョン・スチュアート・ミルの『功利主義論』
 

 

幸せとお金の経済学

幸せとお金の経済学